トラスト6号地は、唐沢支流がその真ん中を流れ、沢の両側にはコナラ群落、スギ、ヒノキなどの他、昔からのモミ、アカマツなども残る夏場でも涼しさを感じられる場所です。6月初旬、そこでムカシヤンマを見ました。
ムカシヤンマは大型の日本特産種で、“ムカシ”の名のとおり雌の成虫は産卵器官として生殖弁ではなく、ムカシトンボと同様に産卵管を有すると言う原始的な特性を維持している数少ないトンボです。
生息地は山地や丘陵地で、幼虫(ヤゴ)はコケ類などが繁茂する湿気の有る土質を好み、そこに穴を掘って生活します。また、アキアカネなどの幼虫(ヤゴ)は、通常、成虫になるまでに3~6ヶ月程度ですが、ムカシヤンマは3年もの時間がかかります。
埼玉県では2018年にムカシヤンマを準絶滅危惧種(NT)に指定し、その種及び生息環境の保全を始めました。また、環境省が実施する環境調査のための10種の「指標昆虫」の一つにも選ばれ、この昆虫の生息が、良好な自然環境であるか否かの指標にもなっています。