マムシグサは低山地の木陰で生育する雌雄異株の多年草でサトイモ科です。てっぺんの鶴の頭のような形のものは苞で、花はその中にあります。秋になると赤い実が房状につき、根は地中でイモのように大きく成長します。この実とイモは猛毒です。

 その奇異な形状で名前は良く知られていますが、性転換をすることはあまり知られていません。マムシグサは最初の数年は無性個体ですが、成長すると、最初はオスに、更に大きくなると性転換してメスになります。この性転換はイモのサイズによることが明らかになっています。即ち、イモのサイズが小さい時はオス、大きくなるとメスになります。しかし、メスになっても栄養状態が悪くなると再びオスに戻ってしまいます。また、生育環境が悪化すると、より抵抗力の強いオスに変化し、環境に適応して種を残します。

 8月中旬の一日、気温32℃、晴れてはいるが雲が多く、蒸し暑い日だった。
 沢を渡り、ヒヨドリバナが群生しているこの地に入るとヒグラシの大合唱、林縁の木々にはそれぞれ、ヒグラシが何匹づつか止まり鳴いていた。一本の木の丁度目の高さに一匹のヒグラシがいて、良く見ると腹の上部に白い、繭のような物体が付いていた。調べてみるとセミヤドリガの終齢期の幼虫で、セミに寄生する珍しい種であることが分かった。セミヤドリガ科の種で、日本に生息するのは2種だが、セミに寄生するのはセミヤドリガだけである。

 その生態は興味深く、先ず、8~9月頃、成虫のガは木の割れ目などに卵を産み付ける。越冬した卵は、翌年、セミの成虫が現れる8~9月頃孵化する。孵化した幼虫は、植物などを自分で食べるのではなく、飛んで来たセミに寄り付き、その体液を吸って1齢~4齢まで成長する。終齢の5齢幼虫になると、体全体が蠟状の白い綿毛(写真)のようなもので覆われる。7~9月頃、十分成長した幼虫は、糸を吐きながらセミから離れ、地面や草に降り、そこで蛹になる。
 なお、寄生されたセミは体液を吸収され弱ることはあるが、死に至ることはないと考えられている。