ヒヨドリバナの花に止まっているコチャバネセセリを撮ったつもりでしたが、良く見ると、アズチグモの雌の捕食場面でした。

 アズチグモは雄と雌とでの性差が大きい性的二形が一つの特徴です。体の大きさは雌が約6~8mm、雄は約2~3mm、また、体色は、雌は白~黄色、雄は褐色で変化しません。
 この雌の体色の変化は、獲物を待つ花の色に合わせて変化させるもので、写真のヒヨドリバナは白なので体色は白ですが、オミナエシなどの黄色い花で獲物を待ち伏せする場合は黄色に変化します。この体色の変化には数日を要しますが、獲物に気づかれずに近づくことができるので捕食効率を高めることができます。

 8月中旬の一日、気温32℃、晴れてはいるが雲が多く、蒸し暑い日だった。
 沢を渡り、ヒヨドリバナが群生しているこの地に入るとヒグラシの大合唱、林縁の木々にはそれぞれ、ヒグラシが何匹づつか止まり鳴いていた。一本の木の丁度目の高さに一匹のヒグラシがいて、良く見ると腹の上部に白い、繭のような物体が付いていた。調べてみるとセミヤドリガの終齢期の幼虫で、セミに寄生する珍しい種であることが分かった。セミヤドリガ科の種で、日本に生息するのは2種だが、セミに寄生するのはセミヤドリガだけである。

 その生態は興味深く、先ず、8~9月頃、成虫のガは木の割れ目などに卵を産み付ける。越冬した卵は、翌年、セミの成虫が現れる8~9月頃孵化する。孵化した幼虫は、植物などを自分で食べるのではなく、飛んで来たセミに寄り付き、その体液を吸って1齢~4齢まで成長する。終齢の5齢幼虫になると、体全体が蠟状の白い綿毛(写真)のようなもので覆われる。7~9月頃、十分成長した幼虫は、糸を吐きながらセミから離れ、地面や草に降り、そこで蛹になる。
 なお、寄生されたセミは体液を吸収され弱ることはあるが、死に至ることはないと考えられている。