1月下旬、風もなく、冬の日差しが暖かく感じられる日でした。蓬沢の南斜面での作業の休憩時間、目の前のアオキの葉にムラサキツバメの雌が止まり、直ぐに翅を拡げて日光浴を始めました。
 この時期、チョウとの出会いは珍しいのですが、この日は、その他、ムラサキシジミ、クロコノマチョウ、キタキチョウを見かけました。

 ムラサキツバメは、以前は近畿地方以西に生息していましたが、温暖化の影響で1990年代頃から徐々に東海、関東地方に進出し、今はそのほぼ全域にまで生息域が拡がりました。チョウの越冬の形態は卵、幼虫、蛹、成虫とありますが、このムラサキツバメは成虫で冬を越します。また、その越冬の仕方も独特で、日中、日差しがあり暖かい日には日向に出てきますが、それ以外の時はマテバシイ、アオキ、ヤツデなどの常緑広葉樹の雨風を凌げる葉表に雄雌が入り混じり、数頭から数十頭が集団で越冬します。

 8月中旬の一日、気温32℃、晴れてはいるが雲が多く、蒸し暑い日だった。
 沢を渡り、ヒヨドリバナが群生しているこの地に入るとヒグラシの大合唱、林縁の木々にはそれぞれ、ヒグラシが何匹づつか止まり鳴いていた。一本の木の丁度目の高さに一匹のヒグラシがいて、良く見ると腹の上部に白い、繭のような物体が付いていた。調べてみるとセミヤドリガの終齢期の幼虫で、セミに寄生する珍しい種であることが分かった。セミヤドリガ科の種で、日本に生息するのは2種だが、セミに寄生するのはセミヤドリガだけである。

 その生態は興味深く、先ず、8~9月頃、成虫のガは木の割れ目などに卵を産み付ける。越冬した卵は、翌年、セミの成虫が現れる8~9月頃孵化する。孵化した幼虫は、植物などを自分で食べるのではなく、飛んで来たセミに寄り付き、その体液を吸って1齢~4齢まで成長する。終齢の5齢幼虫になると、体全体が蠟状の白い綿毛(写真)のようなもので覆われる。7~9月頃、十分成長した幼虫は、糸を吐きながらセミから離れ、地面や草に降り、そこで蛹になる。
 なお、寄生されたセミは体液を吸収され弱ることはあるが、死に至ることはないと考えられている。